講演要旨
私、実は狭山とご縁がある。この近くの中百舌鳥から泉北高速の桃山学院大学に毎週一回通っているが、明石からでは2時間ほどはかかるので今日は早朝から寄せていただいた。
1.地方分権の推進と住民自治
9:40
@地方分権とは何か?
バブル経済が崩壊し地方分権改革が日本でスタートしたのが今から16年前の1995年である。 地方自治推進改革委員会がスタートしたのも1995年の国会で成立し4月からだった。 つまり1995年の阪神淡路大震災の復興とと同時にこの制度は進発したとジャーナリスト時代から身を持って言い続けている。
地方分権というのは当事、国の権限を都道府県市町村に委譲することだと思っていた。 ところがそうでない。 自治体を構成する市民がその主権者になったまちづくりや行政をすることイーコール(一緒)であることがわかった。
万博の頃は、日本国中公害だらけだった。公害救済の革新自治体420位の都市部自治体が革新勢力の時代だった。 住みよい安心して老いることができる住民が主体の運動が全国に広がった。 これが、住民主体・参加のまちづくり。
このような状態から地方分権とは、わかりやすく言えば、住民たちが望む行政を行っていく為に日本の行政の仕組みをがらりと変えることだと知ったのである。
イントロでお話したように、1.地方分権とはなにか?
今やそれを実現していく時代が来た。 これから少し講義っぽくなるが、お手元の資料にあるように、地方分権とは何か? それは補完性の原理である。 住民にもっとも身近な自治体がすべての責任をもって行うことである。
三層構造の⇒国⇒都道府県⇒市町村⇒住民市民の構成のなかで日本の統治が行われてきた。 これが中央集権。 これに反し、憲法の基で地方自治制度が敷かれ、地域のことは地域で決める地方自治の時代でも中央集権の逆補完性の実態がその姿だったのである。
補完性の原理は、市民⇒市町村⇒国の流れである。防衛、外交、貿易、通貨管理、国土の政策や大規模災害復旧などを残し、 教育、福祉、国土管理、福祉など大方の仕事を都道府県市町村に委譲する方向に向かわねばならい時代である。
9:54
地方分権の進んだ最大の例は、欧州EUの組織を見ればよい。 EU連合と参加国がそれぞれの関係で大きな力を持ってきている。 この組織例を日本の市町村で進められている仕組みに例えると地方分権のあり方がよく理解できる。 つまり三層構造の役割が異なってくるのである。
ところが地方分権とは、主権者市民が選挙によって市町村・国に仕事をやらせていると理解する。 市長や議員に仕事を条例で決めてやらせているのである。
国の場合は、間接民主主義であるので、国と地方とは異なるが、地方分権の制度に変わりない。 自分達ができることは、自分達でやり、それが出来ないことは市にやってもらう・・・つまり全てを行政に任せるのでなく、自分達でする・・・これが正しい制度のありかたの原則であろう。
A地方自治の本旨
★団体自治の原理⇒国から独立した地方公共団体が存在してそれに充分な自治権が保障されなければならない。 対外的自治の原理、第一次分権改革による権限移譲、関与の禁止。つまり通達の廃止である。
★住民自治の原理⇒各自治体の中では住民主体の住民自治がおこなわれなければならない。 自治体のなかで、住民主体で行政がおこなわれねばならない。
内部的自治の原理、自治力の強化、民主主義の鍛え直しが確保されているか否か、いまや第二次分権改革が始まっている。 自治力の強化がその目的。
10:15
B住民自治を高めていく課題
★主権者である市民の意識改革と権利の保障とは、言い換えれば市民参画の保障である。 選挙権の行使や官民・民々による市民活動支援センターなどのような市民参画。 小学校単位の自治組織がそれ。
★自助・共助・公助の仕組みと協働のシステム。
これには二つの「ち縁」組織がある。 一つは従前の自治会などの地縁組織。 しかし、これには限界が出てきた。 もう一つは、さまざまな市民活動であるNPOなどのような法人格を与えられた市民活動の知縁組(テーマ型)である。
この二つは当初は犬猿の仲であった。
ところが震災復興などでは、若い力、行動力、専門的な知識が必要となった。 これを契機に住域のある特定分野でのまちづくりに、二つn組織が連携する動きが、1990年代後半から動き出し、最近では行政・市民ともそれが当たり毎の意識となている。
10:30
参画と協働では、情報共有が大切。 大阪狭山市の自治基本条例で基本の参画・協働・情報のなかで、情報共有を一番先に掲げている。 これは重要なことである。
参画⇒一番トップの行政の仕事に主権者市民が関わって行政や議会をコントロールして、選挙やリコール請求、監査請求、条例制定、住民投票、日常的な意見反映制度に主権者市民が参画することが大切ある。
協働の方は、市民と行政が対等の協力関係で一緒に公共的な事業に取り組むことである。 これが鳩山政権で出てきた新しい公共であろう。
市民と行政と事業者の三者が対等な力関係を持っていて然るべきであり、それが広い意味の協働の場である。 計画段階での情報公開が参画と協働を形成する。 これが一番のポイントであろう。 わずか11年ほど前に北海道のニセコで始まり発信された自治基本条例の中には、この情報・協働・参画が盛り込まれているのでよく理解して欲しい。
さて、これからの地域まちづりをどう進めていくかであるが、大事なことをいくつかおはナシする。
★組織をどうしていくかである
市民活動団体は実に多様である。NOPの分野は27ほどある。行政のしていることで市民活動団体でしていないことは無いといっても過言でない。
その担い手も多様化している。 行政の職員が関わる市民活動が必要。 このまちづくり大学では、行政と市民が一緒に勉学するいいスタイルだと思う。
小学校区単位で地域活動をして、まちづくり協議会的な活動を展開しているところが多い。 しかしもっと広域単位はどうするか・・・である。 従って、中学校区やブロック単位の協働も必要である。
10:50
地域づくりの課題は、自治的コミュニティづくりの視点と活動が大切で、親睦やきずなから、地域自治的コミュニティへ⇒自分たちのまちへの、自助、共助、公助をしていく組織づくりが必要となっている。 これが21世紀の大きな姿である。
地域コミュニティの自立により、お互いに皆が支えあっていく・・・これが自律の地域コミュニティづくりである。
★重層的なまちづくりの課題は、広域的では、中学校区やブロック単位の連合の組織が中央集権的なピラミッド型ではダメ。 ボトムアップ型で、二段三段の階層の街づくり⇒広域の積み上げが大事である。
★地域組織とテーマ型団体が連携の仕方を工夫していくこと、これには特定のモデルがない。 多分こちらでは大阪狭山方式と呼ばれるものになるであろう。
★三つ目は、地方行政や地方政治の関わりである。 これは何を意味するかは、つい最近では地域のコミュニティ団体は、政治や行政にかかわりたくなく一線を画くしておきたいとが当たり前とされてきた。 NPOでも政治活動は認められてない。 リコールなどのように、行政の問題にぶつかったとき、これをどう突破するか・・・延長線上に行政の問題が見えてきたはず。 市民活動の代表を議会に出そうとする形もあり得る時代となったのである。 その意味で政策提言は当たり前のことである。
これからのまちづくりは政治と行政が表裏一体の関係あることを飲み込んでおくべき。
最後に地域まちづくりの課題として、問題は出来上がった条例を毎日のまちづくりに如何様に生かしていくかしっかり見据えて欲しい。 住民主体。市民主体のまちづくりをどう進めていくかをしっかり見つめて貰いたい。
好循環社会へ向けて、いい方に回るか、悪い方に回転するか、住民自治を実現していくためには、市民自治が極めて大切な活動。 市民が変われば、議会と行政も変わる。
市民がそうのように意識して行動しなければ、逆回転することもある。
いい回転の場合は、当然まちはよく変わることをよく理解して、これからの大学での勉強のより深まること、このまちでの市民活動がより広まっていくことを期待して私の話を終わりとする。
11:05
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