市民活動支援センタ-事業
平成22年度第1回市民活動支援セミナー
(通算第6回市民活動支援セミナー公開講座)



これからの市民自治によるまちづくり
協働と参画

講師


帝塚山大学法学部教授 
中川 幾郎氏

司会&コーディネーター
大阪狭山市市民活動支援センター所長 白井 隆
日時
平成22年6月25日(土)    9時30〜11時30分
場所 SAYAKAホール コンベンションホール
出席者 90名
まちづくり大学(第期)受講者 29名(M18 F11)
一般からの参加  46名(含河内長野市関係者)
行政関係者  16名
スタッフ 10名

進行担当の講師略歴紹介と挨拶

今、日本の市町村は急激に変化してきています。
外部環境や財政事情が大きく変動する中で、
それらの変化に立ち向かい、自治体として自立していこうとする変革の動きが、
市民参画への期待も含め顕著に表れてきています。

具体的には、市民と行政との協働で運営される「まちづくり円卓会議」であり、
これが今後の新たな公を担うために必要な推進体制を、いかに構築していくべきかを、
各地で展開されている先行事例を交え中川幾郎氏にお話いただきます。


講演要旨掲載
講師未見承済

                                        

             講演要旨

9:35  週休2日の土曜に、こんなにたくさんの方が集まられ凄いまちだなとの印象を受ける。 私は生粋の浪速っ子、言語とは人間の身に付いた文化。標準語は外国語みたいなものなので、大阪弁でないと頭の回転がうまくいかず、今日はずっと大阪弁でお話するのでご了解願いたい。    
  
それでは早速本論に入るが、大阪狭山市では、中学校単位のいくつかのまちづくり協議会が作られているとお聞きして心強い。 ・・・と言うのは、地方自治とは、役所と議会が効率的に進める団体自治と、住民自身が自治をすすめていく住民自治の二輪車が理論化されていて、お互いに補完されていることがのぞましく、団体自治と住民自治の繋がりを良くしていくのが「参画と協働」だからである。 

この言葉は、何も新しいことでなく20数年まえから導入されており、司馬遼太郎先生等が出された報告に「府民と行政との協働参画」なども既にある。 長寿社会で、地域社会がこれからどう動くかは切実な課題・・今日はそれを整理する。

9:45 さて、阪神淡路大震災の時は、町内会の自治がしっかりしている場所は、人の命が多く助かった実例がある。 つまり、一番被害の大きかった長田区では、芦屋や西宮のような新興住宅地に比し死亡率が低かったことである。 

その理由は何を意味するかは、顔と名前が分かりやすい関係にあると人が助けられやすい。つまり
面識社会がそこに成立していたでことあろう。

面識社会とは、1920年代に米国の政治哲学者・ジョン・リュージ氏が指摘している点で、これこそ草の根民主主義[Grass route demockrasy)と呼ばれているもの、その土地に根差す人達の間にある民主主義のことである。それを担保するものが、顔と名前の解りやすい地域環境である。

9:50  これにいち早く気付いた神戸市、京都市、大阪市、堺市、福岡市、新潟市などが、全部共通して、この統合型住民システムに大転換している。 区役所を強化し、地域社会への分権化を加速させ、地域社会づくりの政策の重要性を前面に押し出し、「ホンモノの市民」が創る地域社会を目指しているのである。

区役所を全面に押し出すような分権化の動きには、三つの波があった。
@市町村合併の大波
A阪神淡路大震災の教訓
B小泉政権時代2006年の地方交付税減額


地方分権とは国民・住民に、権限と責任を併せて予算を三点セットで渡すことが分権であると私は思っている。

大阪狭山は早くからそれに目をつけて行動している
まちだと思うが、ホンモノの住民参画をどう確保するかがポイントであろう。 人口を増やす行政はもう終わった。それよりホンモノに参加しようとする住民の比率の高いことが大切なのである。

言いかえると「
地域社会のこれまでとこれから」の話は、分立するPTAや婦人会などの行政の縦割り構造から、人材不足、超高齢・少子化、加入率低下、それに差し迫って団塊の世代を迎え分野別の組織を、中学校区単位の総合型まちづくり協議会などを創っていく話の方向性に持って行きたいことである。 

組織分立と人材不足では総合力は出ない。次世代への継承のシステムもない。安心安全もない。 

10:05  さて、そのような状況のなかで総合的に取り組むまちづくり運動を進めるまちを紹介する。

⇒ 3万数千人口の兵庫県のあさご市の例を画像紹介する。
   画像紹介省略
   
この画像でもおわかりの様に
女性と若者の参加が多い。 まちづくり、地域づくりの原点は、楽しいことでなければあかんということである。 自分たちが一緒になって動かないといけないことに気付いた時に、エネルギーが出て、行政職員も自ら動き、行政職員の住民化、それに住民の経営者化、つまり双方の歩み寄りがはじまり、そこに面白い繋がりが出来たのである。 

この写真の場合、若者の半分が役所の人・・・これが特異。 まちづくりに元気の出る原点であった。

参画協働に4つのプロセスがある。
@みんなで学ぶ・ともに学ぶ
Aともに考える
Bともに汗をかく
Cともに振り返る

これを一緒にやることを参画+協働と言う。 行政と住民の足らぬところをお互いに補完し合うことが大切
(具体例説明⇒省略) 地域のエネルギーがもっとでる。

10:35  話をすすめると、参画と協働のまちづくりには課題と計画性が必要である。皆さんは・・・これは得意。70代以下の人は批判と評価が無茶苦茶好き。 だからみのもんたの番組が流行るのは当然。 その反対に何かをつくるのはダメ。誰かが命令してくれ、誰かに旗振りを期待する。 これは組織教育に浸った結果。

だったらどうしたらいいか・・・が出てこなければならない。 携帯が鳴っただけで、独自に動く姿勢が必要であろう。 これが、これからのまちづくり協議会の方向でなかろうかと思う。

ここに至るまでにはいろいろな関門がある。
@自治会・まちづくり協議会は、ホンモノの「市民」づくり学校である。
A市で寝るだけの寝民タイプ⇒短期滞在型市民は諦め。
 コンビニ利用型要求批判文句たれ居留民のアソシエーション型を啓発して、
 やがてやってくる団塊型世代をコミュニティ型に誘導しなければならない。

ホンモノの市民は、自分の能力に応じて地域貢献ができる・する・すぐ立ち上がる人である。 

つまり 
労働する社会貢献する立ち上がる これがホンマものの市民に切り替える大切な要素だが、それを導くのが生涯学習ではなかろうか。 

10:45  更にお話を先にするめるが、イタリアの都市学者の言で、ホンマものの市民にはさんま・・・が大切。
@人間⇒人間へ愛のマ
A空間⇒自分の住む風景の空間が好き
B時間⇒そのまちの歴史が好き 
⇒三つの間が要ると言う。

生涯学習を通じて、ホンマものの市民をつくる「
まちづくり協議会」に皆さん誇りを持って貰いたい。

さて、次に述べたいのが、人間は二つの集団に属しないと生きていけない。 つまり、コミュニティ型の集団とアソシエーション型集団である。 やがて来るべき次に所属するコミュニティを求める団塊の世代がをどうするか⇒彼らは自治会や町内会に向かってくる。 

そこで必要なのがアソシエーション型の
のNPOである。の住民自治会、それに行政に対して主張する斜めの住民⇒併せてこの縦・横・斜めの住民意識の機能をしっかり発揮させるには、今話したように、 ともに提案できる、ともに泣ける、ともに汗を掛ける市民住民が必要であり、タダの要求や文句たれでない「ホンマもの」の市民を育て上げるしかないのである。 それができるのはまちづくり協議会であり皆さん方なので、自信をもって頂きたい。

11:05  では次にレジメの6番、地域社会が意識すべき「まちづくり」の順序をしめしておきたい。
@防犯・防災の安全・安心のまちづくり
A人に優しいまちづくり
B活力あるまちづくり
C学び・美しさ・モラルの高いまちづくり
Dどこにもない、個性的なまちづくり

であることを、あちこちで申し上げている。

11:15 最後に協働型地域社会の元気・魅力アップの方策にふれて、
まちづくりは、市民づくりであることで締めくくりたい。

@地域社会でないとできないこと、行政でもできないことの仕分けをしよう
Aまちの「縁側」「たまり場」づくりをしよう
B課題別、地域別事業から「世代別事業」を開拓しよう
Cまちの「見守りマップ」づくりに取り掛かろう
D地域に住む役所の職員さんを会員、役員に取り込もう
E団塊の世代には、彼らがマイナス要因に回らぬよう、もう今から働きかけよう

以上


大阪狭山市市民活動支援センター
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