市民活動支援センタ-事業
平成21年度第2回市民活動支セミナー



円卓会議と行政
〜これからのまちづくり推進体制のありかた

講師


近畿大学理工学部社会環境工学科教授 
久 隆裕氏

司会&コーディネーター
大阪狭山市市民活動支援センター所長 白井 隆
日時
平成21年12月5日(土)    9時30〜11時30分
場所 SAYAKAホール 大会議室
出席者 104名
まちづくり大学(第5期)受講者 29名(M18 F11)
一般からの参加  46名(含河内長野市関係者)
市議会議員   3名 
行政関係者  16名
スタッフ 10名

本格的な地方分権の時代に備えた「まちづくり円卓会議」が、
市民の理解と、努力のもとスタートしつつあります。

市民主導で行政との協働を目指して運営される「まちづくり円卓会議」が、
新たな公を担うために必要な推進体制を如何に構築していくべきかを、
各地で展開されている先行事例を交えお話いただきました。


講演要旨掲載
講師未見承済

                                        

             講演要旨


9:38  冒頭、私ごとだが来年4月に、17年振りに新しい学部の創設を見る。 総合社会学部がそれで、4月から開講する。 司会者から紹介のように現在は理工学部社会環境工学科なので、何故まちづくりか・・・とよく言われるが、これで来年からは総合社会学部となり、このようなお話の場に出ても不思議でなくなる。私のお話でお役に立てるなら一緒に考えさせていただきたいと思っている。

今日のお話も、地域の中の方々の状況に合わせて、このようなやり方がある・・・と10年ほど前から経験した内容を披露し皆さまと一緒の意見交流をしたい。

9:41  今新しい仕組みが求められている。 これは、鳩山・オバマ日米同じ動き。 この鳴動は20年〜30年経ったら、2000年代前半の節目となることが解るだろう。  丁度、江戸期から明治への激動と比肩すると、現在は徐々に動いているものの大きな転換期ともいえよう。 従来型の動きと大きく変わる話なので、その点を最初にお断わりして置く。

9:44   では、プリントに従い 先ず最初は地域で起こっていることから、お話を進める。

1.地域活動離れはなぜおきるか?

今狭山でも起こっていることだろうが、自治会の加入率が減少している。どういうことかは今の社会現象を知ると見えてくる。 近所付き合いの減少である。 12月に入ると大掃除が始まる。 しかし近所づきあいをしなくても、お金を払えば掃除のサービスが買える。 また犬の散歩までも肩替りのプロがいる。 これが資本主義社会の仕組みである。 問題を、お金や制度で解決するやり方である。その典型が葬儀の場合の人任せの葬儀屋。 この動きで近代の生活は楽になった。人任せなのが近代という時代の特徴である。

9:50   これを人任せにしない・・・人の所為にしないまちづくりを進めるには、どうすればいいか、その為には必要なのが、自治・自律・主体性であり、この歯車を変えていかねばならぬのが、この10年間の私の仕事であった。 今日お集まりのみなさんは自治会関係の方も多く、人任せにはされぬ方々ばかりであろう。

9:55  2.できることを出来る人がきるときに・・・

人任せにするから文句を言う人が多くなる。 当り前のことだが、文句言ったり、人の所為にしても前には進まない。 創造的にものを考え、進めていくことが大事であろう。 そこで、文句を言わない世話するひとをどう増やすか?である。

人任せにする人を減らすには、お客さまを作らぬことである。 世話をすればするほど「
お客さま」は増える。 例を述べると八尾の東山本地区の会合でお茶をこぼした人への対応がある(詳細省略)。

他方、椅子の片付けを見るとその地域の成功の可否を探ることができる。ちょっとしたお手伝いを頼めることを増やさねばならない。 これにより、どんな技能や経験をもった人かを把握し、上手に頼み、客状態の人をいかに減らすかが大切である。

一人ひとりの力は小さいが、集まれば大きな力になる⇒これが
ネットワークでありつながりの大切さであり、このことを協働と呼び、思いある人をつないでいく仕掛け、それが交流会である。

10:10 3.つながりは呼びかけから・・・

今ネットワーク社会と呼ばれてい時代の転換期のなかで、NW社会の動きとは何か? を念頭に置いて話を進める。

つながりは「
よびかけ」から生まれ、呼びかけからつながるその「場所」が、交流の場である。

10:17
 
世界規模の呼びかけの機会の場が⇒インターネットのHP WWW.

これをうまく使うとネットワークを広げることができる。

川西市能勢口駅近くの6軒ほどの「
おうちカフェ」のランチ例⇒ブログをみて大津から参加した例の引用。 つながりは強制せず自発的につながることが大切。

呼びかける場主体性の強い人⇒これがネットワークである。

10:24 4.交流の場づくりとは、

交流の場とは、地域でいろいろな人が定例的に集まり語り合う場である。
いろいろな言い方をするが、
まちづくりラウンドテーブル、コミュニティ会議、まちづくり井戸端会議、つながりカフェ等であり、合意形成・意思決定を前提としない情報交換の場である。

気軽に楽しいまちづくりはここから生まれる。 交流会は継続が必要で、+20人以上の場合は、大いに盛り上がる。 10人以下の場合は苦戦するか・・つながりにくい。放出音楽サロンの例説明
(省略) 

情報公開をすることにより、新しいつながりが生まれる 役員会でない人とのつながりが大切で、顔ぶれは新鮮になるよう心がけるべき。 ワークショップとの違いは、テーマやプログラムを設けないことであろう。 北千里の例の説明。 20代の元チアリーダーの参加から、地域おこしにつながった例の説明
(省略) 

回覧板は⇒情報待ちの人を作る
掲示板は⇒人々が読みに来る。これもインターネットNWだが、GBS(Grouping Board System) が優れており、世話役に頼るのでなく、みんなで盛り上げ主体性の高まりがでる。 口コミでひろげ、人集めもみんなで分担すればいい。

10:51  交流会で議題解決ができれば儲けものである。少しづつつながりが現れ、漢方薬のようにそのうちに効いてくる。 すぐに解決しなくても、早くても6か月くらいの積りで呼びかけをするとよい。 変革でなく+αの新しい仕組みがいい。 主体性を取り戻す仕掛けから⇒
人の所為にしないまちづくりを試みよう。

10:55  5.交流会と協議会

円卓会議について別の角度からみると⇒今までの組織⇒特効薬
                           交流会⇒ゆるやかな進展
と言えよう。 ところが河内長野市で困ったことがある。つまり
まちづくり交流会は情報交換の場であり、2時間限りの情報交換の場で、意思決定の場でなく、交流会と協議会の意味が混乱したことだ。 他方まちづくり協議会は、意思決定や活動の「組織」の場である。  

では、まちづくり円卓会議は、交流会なのか、協議会なのか? 行事・予算がつくと組織が運営することになり、交流会の場とは異なってくる。 そこで「まちづくり円卓会議」は組織でよく、その組織が、「まちづくり交流会」を催す形で、別途交流会を持つ方向性でもよいのでは・・

11:03  
6. ゆるやかなネットワーク組織

そろそろ締めくくりに入るが、EUは21世紀型のネットワーク組織であることにご注目願いたい。
これは単位組織を尊重したゆるやかな連帯である。 円卓会議も然り。 既存の組織体があってもよい。 そのつながりをつくる為の動きが、各国・各地域の主権を尊重しつつ、対等にゆるやかにつながるEUの動向に比肩すればよい。 

私なりの考えだが、まちづくり円卓会議の役割は、EUの如く、
●新たなものチャレンジしませんか・・・放出音楽サロンの例
●できるところからはじめませんか・・・組める人たちから組んでいく大切さ
●地域の総体として機能させませんか・・・如何なるグループ・個人とも、ゆるやかなつながりで円卓会議を動かしませんか・・・
ということで、連合自治会はしっかりとした組織として並立させ、現在の動きと違う方向性として存立してもよいのではないかと思う。

11:15  
7 コミュニティと行政の関係を再考しておきたい
  
つまり市役所と円卓会議の関係である。
(図による説明配布資料参照)行政の範囲
 
現在の地域⇒行政  地域の総体⇒窓口⇒行政窓口⇒担当へ

右図のような関係から、行政が変われば地域も変わることになる。
その一例として団体毎の補助金を⇒一括交付することにより地域も変わらざるを得ない。
それにより一括交付金を如何に利用するかは、地域により民主的な手続きがもとめられ、長期ビジョンに基づく運用から、長期スパンへのビジョンある金の使い方になってくる。

交付金の活用状況をどのように評価するかは、
事前審査より、情報公開によって社会的評価を受ける事後評価の方が、責任ある金の使い方にもなるだろう。 情報公開だけに、変な使い方はできないのである。 これが21世紀型のあたらしい考え方であり、行政は地域を信頼することが大切である。 

世の中の流れは、自己責任の流れの変化を生みつつ、その代償が
社会的情報公開の必要性につながっていくのである。

                   配布レジメ  (←Crick)




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