平成20年度市民活動支援センタ-事業
~第2回 市民活動セミナー~
これからの市民協働の進め方
平成20年10月18日(土) 午前9時30分~11時

講師

天理大学人間学部 教授
今西 幸蔵氏

講座概要

1 地域社会の変化と新しい地域形成
   (1)地域社会の変化シBR>    (2)地域社会と人間性の伸長
   (3)住民(民)と行政(官)の協働社会の形成
2 協働型市民社会の形成
   (1)協働型市民社会の形成
   (2)協働型市民社会推進のための要件
3 大阪狭山市の新しい総合計画
   (1)地域社会の重要課題
   (2)計画策定にむけての考え方
   (3)計画策定にむけての取り組み方


講演要旨
今日は日本晴れの好天、皆様がたは第4期のまちづくり大学の講座に参加され、これからいろいろな学習をして頂きたい。 また円卓会議の関係者や支援センターの方も参加されており、こうした場を設けていただいた暖かい支援に感謝する。  本日はまちづくり大学の一日目の講座ということで、なぜまちづくりなのか・・・からお話しを広げ今の大阪狭山市の状況についても私なりの見地から言及したい。
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●それではなぜまちづくり大学なのか・・・ということだが、市民大学を行政主導で行っているところは全国にたくさんある。しかし住民主導の社会教育大学をしているところは少ない。 さらに全国の市民大学のブログラムは多くの場合は、趣味や教養、若干は政治経済とする一般教養が多い。

当市の場合の特徴は二つある。 
①は、全国でも新しい形の市民大学だということ。 それは一般教養でなくて地域の課題を具体的に現しそれを学ぶ、しかも担当の行政職員の方が講義する点にある。 
②は、市民活動支援センターの市民の軸足側に立つ方々がこの大学を運営していることである。 これは先進的で日本で初めてだと思う。

●このような発想の始まりは、1994年に埼玉県の八潮市。その藤波市長が生涯学習まちづくり出前講座と名前づけたことによる。 行政が何をしているかについて、十分に住民に理解してもらいたい方向の取り組みをした。 そして行政が何をしているかについての説明を住民が十分に聞いて理解する・・・これが行政の説明責任。 いわゆるPRである。 PRの言葉は米国トーマス・ジェファソンが大統領教書に使ったのが始まりで、Public Relationの意味。 このPRが日本に入ったのはGHQがもたらした1946年。 私がここで言いたいことは、情報というものはキチンと住民に渡さなければならないということである。

このように一般教養を超え、具体的にどうしたらいいかというところまで話し合うということは、基礎の段階を超えた生涯学習活動として、このまちづくり大学が位置づけられている点への評価であろう。

m081018a.jpg●ところでレジメに入るが、今の日本の社会は混沌としている。 そのなかで世界の流れがグローバル化していることに注目したい。 世界は境界のない時代に突入した。 この意味するところは地球が一つになることで、これまでの私たちの発想を取り換えなければならないということである。 

そのことをしっかり理解したうえで、狭山市が取り組んでいるテーマ、円卓会議の区域が小学校区でなく中学校区である先見性は一顧の価値がある。 つまり無境界のファジーから全体像を見ていくことがこれからの発想に大切であろう。 自分の住んでいる地域をしっかり見つめ改善していく、その改善が町全体の改善につながっていくことが必要。 日本の社会は、国際化と向こう三軒両隣の自分の周辺から始まるある種のコミュニティを作っていくことが必要なのである。

しかし日本の地域力は低下している。 それは日本の総都市化が問題。それに故に、人間と人間の力関係が希薄になり、加えて欧米の訴訟意識が混入してきた。 ここに於いてこそ、生涯学習のまちづくり力が求められる由縁である。 

まちづくりとは、まち全体のさまざまな課題を考える、そのためには、皆が力を合わせる、行政も住民も企業や研究機関も力を合わせる。

つまり産・官・学・民のプラットフォームの協働型社会がそれ。それぞれの立場の人が一つの社会を構成し、協働関係を構築する、つまりCollaborationである。 お互いがお互いの関係性をつくる、そうしないと今の社会はやっていけない。 公の人間関係をもち、お互いが透明性のある関係をもち合い信頼する、これがPRの意味でもある。

最近Citizen Social Capitalが使われ始めている。 二つの主体が抗争や対立する形より、お互いが信頼し合い認め合う方が有利との考え。 そこで大切なのは、自分のことを自分で考え、自分で実行することである。 
だから対話と協調が求められる。 

m081018b.jpg●ではどういう市民像が求められるのか・・・レジメ1-(3)にある住民(民)と行政(官)が協働社会を構成する①自治意識をもった住民の育成への支援が必要となるのである。 依存でなく自ら考える市民が必要なのである。

さらにレジメ(3)の2)に書いてある公益的な住民活動の考え方が大切となる。 地域の課題はなにも行政だけがやるのでない、先ほどの協働型社会にある皆んなが係わっていくことが大事なのだ。 そのためには、それぞれの人が当事者能力をもつこと⇒学習と行動をもつ循環性が今の社会に求められているのである。

まちづくり大学は学習だが、学習のための学習であってはいけない。 学んだことを自分のできる範囲でボランタリーな活動で社会に行動してもらいたい。mc081018.jpg

皆さん方に大事なことは、自由な発想を持ってほしいこと。
ボランタリーの活動には三原則がある。
① 脱市場性の原理
② 脱管理性の原理
③ 脱競争性の原理

そういう活動を私たちがしていくべき。

4期生のみなさんはそれぞれ人生経験や立場が異なるが、お互いに繋がって、郷土愛を高めて活動してほしい。 狭山の市民憲章を一緒に唱和してはどうであろうか。 そうすれば抽象的な市民憲章の名文でも、具体的に市民が何をするか、何をしなければならぬかが見えてくるだろう。 皆さん方自身も自分たちで、市民憲章に基づいた具体的なAction計画を行動に移してほしい。 こうして集まったご縁や、三期までの先輩とのご縁のなかで皆が協力し合ってまちづくりを進めてもらいたい。

協働型市民社会を推進のためには三つの条件がある。レジメ2ー(2)
①公的な市民活動のための中間支援組織の役割
②市民活動指導者の役割
③市民活動の情報提供と情報収集の役割 
である。 

●大阪狭山市の新しい総合計画であるが、地域社会の重要課題として、
1.地方分権化への対応
2.三位一体の改革
3.少子・高齢化への対応
4.地球環境問題への対応
等がある。

今日提案したいことは、自治会をもう一度再建してほしいことである。
自治会とは何かの原点を考え直してほしい。
自治会を核として、老人会、子供会などいろいろな会を結集してほしい。その中から円卓会議に出て新しまちづくりのプランを住民が構築してほしいと思う。 コミュニティの再編が必要である。 

大阪狭山市は市民協働で最も進んだ市である。従ってモデルがない。 次のことがなかなか見えにくい。 それを見えるようにするのが住民の仕事。
市民の願いをキチンと届けていくお互いのコラボで、ぜひ大阪狭山を愛する一点の心でつながるべきだろう。

自分自身ができることを学び、それを地域の新しい財産として新しい資源を創ってほしいと思う。

ここで学んだ新しい見方で、自然・歴史・人間を含み変えられるものを見つけ、市民・行政のみならず大学も引っ張りこんでもらいたい。 それにより産・官・学・民の協働型社会のまちづくりができると思うのです。



大阪狭山市市民活動支援センター
℡・FAX 072-366-4664